静岡の耕作放棄地で、ひっそりと実をつけるお茶の木がある。
采茶〜SAICHA(サイチャ)は、その実だけを原料に生まれた純国産の美容オイルブランドです。
イベント会場で手に取ったオイルの香りは、ナッツのような香ばしさの中に、どこか野性的な力強さを持っていました。
その一滴が届くまでの背景を、ブランドを手がける株式会社ピー・エス・インターナショナルに伺いました。
輸入から、国産へ。エシカルという軸が変えた視点

30年以上にわたり海外の美容商材を日本に届けてきた株式会社ピー・エス・インターナショナル。
ハーブや植物オイルを中心に、サステナブルコスメの分野でも先駆的な取り組みを続けてきた会社です。
転機となったのは、長く手がけてきたあるエシカルブランドが日本市場から撤退したこと。
そのとき、チームの中に一つの問いが生まれたといいます。
世界から良いものを輸入してきた知見を持ちながら、自分たちは日本のコスメで何ができるか——。
オーガニックからエシカル、サステナブルへと思想の軸を深めていく中で、視線が国内に向かいました。
そして「日本でエシカルな素材を探そう」と見渡したとき、静岡の耕作放棄地に実る「茶の実」が目に入ったのだそうです。
2粒から、1滴。あえて搾らないという選択

お茶はツバキ科の植物。
その種子から採れる茶の実オイル※は、ヒトの皮脂に似た組成を持ち肌になじみやすいという特性があります。
製品化にあたっては、他のオイルとブレンドするなどさまざまな処方を試したといいます。
ですが最終的に行き着いたのは、茶の実オイル100%というシンプルな一択でした。
——そう話す言葉には、素材への揺るぎない信頼があります。
「采茶〜SAICHA」のオイルは、茶の実2粒からわずか1滴しか採れません。
ただし、これは物理的な限界ではないのだそう。
もっと搾ろうと思えば搾れる。
でも、あえて一番搾りだけにとどめているのだそうです。
力を入れず、時間をかけてコールドプレスで丁寧に絞り出す。
加熱や化学処理を加えない分、茶の実本来の成分がそのまま残ります。
20mlのボトルに詰まっているのは、約400粒の実から得られた、一番搾りのオイルだけ。
「濃くて、上質で」——その言葉の重みは、搾り方のこだわりにあります。
ブランドに携わるスタッフは皆、このオイルを使ったとき「自然のパワーを本当に感じられる」と口をそろえるのだそうです。
成分や数値ではなく、肌で受け取る感覚として。
耕作放棄地から生まれ、人の手で育てられる

茶の実は、農家にとってこれまで活用されてこなかった存在でした。
「采茶〜SAICHA」はその茶の実を二番茶と同じ価格で買い取ることで、農家に収入をもたらしています。
収穫された茶の実は、福祉施設での手選別を経てオイルへと仕立てられます。
一粒ずつヘタと殻を取り除く丁寧な作業が、この製品の一部を担っています。
農家の収入、福祉施設の就労機会、耕作放棄地の活用、そして使い手の肌。
「采茶〜SAICHA」が掲げる「三方良し」を超えた「四方良し」とは、このつながりから生まれています。
ガラスの遮光瓶が宿す、静岡の景色

手に取ったとき、まず目を引くのが深いグリーンの遮光瓶です。
光から中身を守るための機能を持ちながら、静岡の茶畑を思わせる緑が美しい。
素材へのこだわりは、こうして手に触れる瞬間にも宿っています。
スポイトで2〜3滴を手のひらに落とし、両手で温めてから顔全体に包み込むようになじませる。
その瞬間に広がるのは、香ばしくどこか野性的でふくよかな香り。
人工的には作り出せない、茶の実そのものの香りです。
人によってナッツのように感じる方もいれば、お花のように感じる方もいる。
コンディションや感受性によって表情が変わる、その揺らぎもまた、自然素材ならではの豊かさです。
一滴の波紋が、日本中に広がるように

「采茶〜SAICHA」が目指すのは、製品を届けることにとどまりません。
全国各地にある耕作放棄地の受け皿となり、日本の茶畑の景観を守り、地域に関わる人を増やしていくこと。
一滴の雫が落ちた波紋が、穏やかに、でも確かに広がっていくように——
そんな未来を描きながら、ブランドはまだ始まったばかりのスタートラインに立っています。
※茶の実オイル:チャ種子油(保湿成分)
◼️采茶〜SAICHA(サイチャ)
公式サイト:https://www.saicha.jp/
Instagram:@saicha.jp
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