圧倒的YESの空間をつくりたくて

1966年、ロンドン。

ジョン・レノンは友人に誘われて、とある女性アーティストの個展を訪れた。

会場に展示されていたのは「天井の作品」。

そこにはしごが置かれていて、登っていくと天井から虫眼鏡が吊り下げられている。

その虫眼鏡をのぞき込んで、やっと小さな文字を読むことができる。

そこに書かれていたのは「YES」。

否定ではなく、全肯定。

もしそこに「NO」とか「マヌケ」といった言葉が書かれていたら、きっと心は閉じてしまっただろう。

けれどジョンは、その小さな「YES」に救われた。

のちに妻となるオノ・ヨーコとの出会いは、そんな作品から始まったと伝えられている。


人は日々、それぞれのはしごを登っている。

仕事、家庭、介護、健康や美容の悩み…。

一段一段、少しずつ上がっていくような毎日のなかで、ふと立ち止まったときに出会う言葉が「NO」だったら、どれほど心が折れてしまうだろう。

けれど「YES」で迎えられたなら、その瞬間に安心し、もう一歩進む力が湧いてくる。


私は2012年に自分のサロンをオープンした。

そのときに心に決めたのは、「圧倒的YESの空間にする」 ということだった。

お客様を否定しない。

スキンケアを否定しない。

「乾燥しているからダメ」「敏感だから困る」といったNOの言葉を使わず、必ずリフレーミングして「しっとりに近づける」「敏感だからこそ大切にできる」とYESに変える。

肌だけでなく、その人自身をまるごと受けとめる。

サロンという空間は、ただ化粧品や技術を提供する場ではなく、心ごと安心できる場でありたいと思った。

それはジョンとヨーコの「YES」に通じるものがある。

人が努力して登った先に「NO」が待っているのではなく、「YES」がそこにあること。

それがどれほど人を勇気づけるかを、私は知っている。


音楽のライブもまた、私にとってYESの空間だ。

普段は感覚過敏で人混みが苦手なのに、ライブには行けるのはなぜだろうと考えたことがある。

それは、バラバラな人々がひとつの音楽を軸に同じ方向を向き、「好き」というYESでつながっているからだ。

その場全体が全肯定で包まれているからこそ、安心していられる。


美容の世界も同じだと思う。

誰かの肌や生き方を「NO」で測るのではなく、「YES」で受けとめること。

その肯定感が積み重なって、初めて人は自分の美しさを信じられるようになる。

「Beauty Beyond」という言葉を、私は「美容を超えて人をまるごと肯定すること」だと捉えている。

ジョンとヨーコのYESのように、サロンでのYESの空間のように。

一人ひとりが自分の中で「YES」と出会える瞬間を増やしていくこと。

それが私の、美容を通して伝えたいメッセージである。

YESの空間 ビューティービヨンド

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